- 環境科学科
生分解性プラスチックを分解する植物病原菌:黒穂病菌類の新たな可能性
2025年2月6日
日本の調査隊が1967年に南極で採取した担子菌酵母JCM 10317株は生分解性プラスチック(BP)を効率的に分解することで知られていました。
本学の田中栄爾教授(環境科学科)らは、これまでの研究で、JCM 10317株菌がイヌビエ黒穂病菌(Moesziomyces antarcticus)の無性世代であることを明らかにし、他の黒穂病菌類にもBPを分解する可能性を見いだしました。
BPは環境負荷軽減のため注目されていますが、その普及には低温環境でも分解可能な微生物が必要です。
今回、大学院生の青木勇治さん(2023年3月修了)と田中教授は、16種28菌株の様々な分類群の黒穂病菌を用い、複数の温度条件下で構造や用途の異なる4種類のBP(PBSA、PBS、PCL、PLA)の分解能力を検証しました。
その結果、複数の菌株がBPを分解し、特にUstilago trichophoraが低温条件下で優れたPBSA(農業用マルチフィルムや包装材料などに利用されるBP)分解能力を示すことを明らかにしました。
今後、黒穂病菌類の研究を進めることで、より効率的なBP分解微生物の発見が期待されます。
本研究成果は、Mycoscience 66巻2号に掲載される予定です。

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研究者情報
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