環境科学科4年 鈴木琉斗さん(指導教員:勝見尚也 准教授)が、日本土壌肥料学会中部支部第105回例会(2025年11月10日)において、「水田における被覆肥料由来マイクロプラスチックの浮上量に影響を与える要因」というタイトルで発表し、ポスター賞を受賞しました。
日本の水田では省力化や環境負荷の低減を目的として、肥料をポリマーでコーティングした「被覆肥料」が広く使用されています。しかし、使用後に残る被膜殻はマイクロプラスチックに分類され、水田内だけでなく海域でも確認されていることから、その流出抑制に関する知見の蓄積が求められています。
鈴木さんは水田から流出するマイクロプラスチックの多くが代かき時に水面に浮上する現象に着目しました。浮上量が多いほど排水とともに流出する量が多くなることから、浮上量の低減は海域へのマイクロプラスチック流出防止に直結するためです。そこで、2025年4月から6月にかけて石川県内43枚の水田を対象に、マイクロプラスチックの浮上量に影響を与える要因を調査しました。
その結果、代かき時の水位と浮上量の間に正の相関があり、水位が5 cm以下であればマイクロプラスチックの浮上量を低く抑えられることがわかりました。さらに、浮上しているマイクロプラスチックが何年前に施肥された被覆肥料に由来するのか、被覆肥料の施用を5年間中止した場合に浮上量がどの程度減少するのかも併せて明らかにしました。
これらの成果は、農業に由来するマイクロプラスチックの流出抑制策の立案などへの応用が期待されます。
